今年に入って、各商品の市況が、独自の要因でまちまちの方向に動く状況が続いてきたが、足元では、総じて下落している。特に、原油と金の連動性が高まっていることが目を引く。
原油は、需給緩和が懸念されている。9月のOPEC(石油輸出国機構)の月報を見ると、2014年の原油需要の見通しは前年比105万バレル増と前月時点(110万バレル増)から下方修正され、15年についても119万バレル増と前月(121万バレル増)から下方修正された。
一方で、非OPEC諸国からの原油供給量は、米国を中心に拡大する見通しが示された。非OPECの産油量が増加する中で、原油需要は伸び悩んでおり、OPECの原油輸出環境が悪化することを示す内容であった。
こうした中で、16日にOPECのバドリ事務局長が、11月27日に開催されるOPEC総会では原油生産目標が現行の日量3000万バレルから2950万バレルへと50万バレル引き下げられるとの見通しを示した。
OPEC筋の声として、生産目標引き下げの判断をするには時期尚早との見方も報道されている。実際に減産が行われるかどうかは、今後の原油価格動向などによるといえる。しかし、ブレント原油相場が12年6月以来の水準に下落する中、産油国からは相場下落を懸念する声が聞こえ始めてきた。
一方で、金価格は、今年1月の安値に迫っている。米国の金融政策について、ゼロ金利が相当期間続けられたとしても、その後の利上げペースが速くなる可能性があるとの見方が強まり、金利の付かない金には売り材料となった。また、金は為替相場に敏感であり、ドル高が売り材料になっている。