「閉鎖的な派閥」からは距離をとる

 第2のアドバイスは、「閉鎖的な派閥には入らない」ということです。
 これは、私の実体験にもとづくアドバイスです。私が長く勤めたリクルートには、社内で前向きにリーダーシップを発揮したい人がたくさんいましたから、そうした人物を中心にいくつもの派閥が形成されていました。そして、それらが健全な緊張関係のなかで活発に活動していたのです。

 数ある派閥の動きを見ていて、気づいたことがあります。派閥には、大きく2つのタイプがあるのです。

1 結束の強い派閥
2 結束の緩やかな派閥

 要注意なのは、「結束の強い派閥」です。
 まず、こういう派閥は飲み会やゴルフコンペなどの行事が多い傾向があります。なかには、合宿と称して休日に泊まり込みで集まるような派閥もありました。それらに参加するだけでも、かなりの負担になります。下っ端のうちは、連絡係や場所とりなど雑用を任されがちですから、特に負担が重くなりがちです。

 さらに問題なのは、こういう派閥は、ややもすると閉鎖的な色彩を帯び始めることです。身内以外の悪口が多かったり、他派閥の構成員と飲みに行くだけで「どういうこと?」などと揶揄されたりします。その結果、派閥以外の同僚との間に溝ができるようなこともあります。しかも、派閥から抜けようとすると「裏切るのか?」と責められ、脱退後は陰に陽に仕事の邪魔をされるケースもあります。

不用意に有力者に近づくと「隷属」させられる

 特に、上層部を領袖とする派閥には注意が必要です。
「A専務を社長にしよう」「B部長を役員にしよう」などという理由で派閥が形成されている場合、領袖以外の人物との繋がりを持つと派閥内でつまはじきにされます。

 そのため、社内で限られた人脈しかもてない結果となりがちです。万一、派閥抗争が勃発した場合には、そこから逃げることは許されません。閉鎖的な派閥に入ることによって、等距離外交ができなくなるのは、あなたにとって大きな足かせになるでしょう。

 そもそも、上層部で勢力争いをするような人物に、あまりに近づきすぎるのは危険でもあります。相手は百戦錬磨の「政治家」です。あなたによほどの「能力」があって、「味方につけておきたい」と思われているなら別ですが、ヘタをすると主従関係(ときには隷属関係)に置かれてしまうこともありえます。

 そうなれば、その後の長い会社生活を、自己犠牲的に過ごさざるをえなくなるでしょう。有力者に近づくときは、自分の実力をよく見極めたうえで、慎重にも慎重を期す必要があるのです。

 ところが、それがわかっているのに、閉鎖的な派閥に入ってしまう人がいます。