『中谷彰宏の人生道場』テーマ第3弾は「大人のマナー」です。マナーには2通りあって、おじぎの角度やタクシーに乗る順番など、新人研修で習うマナーは「守りのマナー」と言えます。しかし、実践で役立つのは臨機応変に対応しなければならない「攻めのマナー」の方です。今回から、一般的には紹介されることの少ない「攻めのマナー」を伝授していきたいと思います。

コピー機のマナーは、
後ろで待っている人に気づくこと。

 お茶くみとコピーとりは、新人の大切な仕事です。それこそ木下藤吉郎の草履取りのような仕事です。一番基本的で、誰もがあまりやりたがりません。そんな仕事からは、早く脱出したいと思っています。

 でも、コピーをとるプロセスの中で、その人がどれぐらい仕事ができるか、気配りができるかがわかるのです。

 仕事にマナーがあるように、雑用にこそマナーがあります。お茶くみにはお茶くみ、コピーとりにはコピーとり、電話取り次ぎには電話取り次ぎのマナーがあるのです。

 マナーがあるということは、それだけ深みがあるということです。

 コピーとりは、一見、無味乾燥な仕事です。やるほうも「もっとクリエイティブにやろう」とは考えずに、つい無味乾燥なモードに入っていきます。
 
 たとえば、本のページを大量にコピーする時は、自動挿入ができないので時間がかかります。1枚1枚ページをめくってコピーをとらなければなりません。1冊買ったほうが早いぐらいです。

 自分が1台のコピー機を独占していると、急ぎでコピーをとりたい人が後ろで待っています。その時に「時間がかかるので、お先にどうぞ」と言えるかどうかです。

 自分の仕事は遅くなります。でも、自分が全体に迷惑をかけていることに気づくことが、コピーをとる時の大切なマナーです。

 つい自分の仕事に夢中になって、早く終わらせたいと思いがちです。 でも、そうすると、あとから来る人は、たとえ1枚のコピーでも、大量のコピーをとっている人の後ろに並ぶことになります。自分が大渋滞を引き起こしている原因になっているのです。

 自分自身は「こんなつらい仕事を上司に任されているから、仕方がない」
と思い込んでいます。そういう時に、ついついマナー違反になりがちなのです。

【大人のマナーその5】コピーを、ほかの人の迷惑にならないようにとろう。