2つの新共通テストの目鼻がはっきりしても、数年は混乱を来すだろうし、受験生の負担は大きくなるだろう。

 大学受験が長期化することも考えられる。

 仮に、大学がAO入試や推薦入試をやめたところで、早期に入学者を確保したがることには変わりない。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を高校2年の夏から受験することができるとなれば、それにあわせた入学者選抜を行うことになるだろう。

 多面的評価を導入すれば、一度に大量の受験生を審査することはできないであろうから入試自体が長期化することも考えられる。一度の入学者選抜で志望校に合格できればいいが、そうならなければ合格を求めて長期間にわたり入学者選抜試験を受験することになる。大学は併願大学との関係でウエイティングリストを作るだろう。

 何年か経って「受験地図」が落ち着くまでは、ウエイティングリストの扱いに苦慮するだろう。そのスケジュールをどう組むのか。複数回実施がなされれば、余計に混乱することになるだろう。

 では、大学ではどうだろうか。

 まず、教授会は抵抗するだろう。面接なんて教員は責任を持てないと言い始めるだろう。面倒だとも。これまでのAO入試の面接では受験生になかなか甲乙をつけられないことを知っている教員も多いだろう。どのような工夫をして「多面的評価」で甲乙をつけるのかを問いただしてくるだろう。

「多面的評価なんて面倒なことをやらなくても学力試験で十分だ」という意見も大学ではよく聞く。

 しかし、入学後の教育に責任を持つ立場だからこそ、教授会が入学者選抜に専権をもつのだ。果たして教授会は、つべこべ言わずに新共通テストを受け入れるのだろうか。

 複数回の新共通テストを乗り切る手立てはあるのか。複数回の実施は、各回の難度調整などを考えればCBT(*)が望ましいが、果たしてそれだけで可能だろうか。年に複数回の運営を高校や大学で実施するのはなかなかの負担になる。これはCBTにしたうえで、民間に任せるべきだろう。イギリスでは実際にそうしている。任せられることはどんどん民間に回すべきであり、文部科学省はその管理に回るべきだろう。海外に先行事例があるので、そんなに難しいこととは思えない。

(*)CBT(Computer Based Testing):コンピュータの画面上に問題を表示し、キーボードやマウスで回答を入力する試験