娘に嫌われることは親としての成功である
【岸見一郎×ナス】
ナス
48歳男性。公務員。落ち着いた大人の雰囲気を身にまとっているが、「色と食感がイヤ」と子どもに嫌われがちであることを気にしている。実の娘(小ナス)からも煙たがられている。お酒をこよなく愛するダンディズムを持つ一方、いわゆる「オヤジギャグ」やナチュラルなセクハラ発言が周りに大不評。野菜アイドルのトマトちゃんへの歪んだ愛情も目を覆いたくなるほどに痛々しい。
Twitterアカウント=@Nasu_BKY
ナス 本日は宜しくお願いいたします。私は某区役所の保育課に勤めております。ナスは色と食感のせいなのか特に子どもに嫌われがちです。しかし、どうしても保育課は子どもに接する機会があるので、ハナから嫌われてしまっている状況では仕事が上手くいかないことが多いのです。先日上司から「見た目を変えろ。色を変えろ」と言われまして。それはもう、ナスじゃないでしょう……。中学生の娘も最近当たりが強くて。「お父さん、キモい。ぶにぶにしてるし、紫だし」って言うんですよ。
岸見 娘さんは違う見た目なんですか?
ナス まだ小ナスですので、青いですね。いずれ自分が私のようになるとは知らないのです。この間も娘の運動会に行って一生懸命応援してたんですよ、観覧席の最前列で。そうしたら、「ああいうの本当にやめて、恥ずかしい」と言われまして。仕事でも家庭でも何をやっても嫌われるのです。
岸見 保育課の仕事はどのようなことをするのですか?
ナス さまざまですが、たとえば保育所を訪問調査して実態を把握するようなことをしていますね。
岸見 その仕事と、子どもたちに好かれるということは直接関係ないですよね?
ナス そ、そうですね。好かれようと嫌われようと、やる仕事はまったく変わらないですね。
岸見 あなたの仕事にあなたの容姿は関係ない。そこをまずきちんと理解しないと。ひょっとしたら仕事が上手くいかない理由を、子どもたちに好かれないせいにしているのかもしれない。
ナス 耳が痛いですね。どうやったら子どもに好かれるだろうか……とかそんなことばかり最近考えていました。
岸見 それは、上司の顔色を伺って気に入られようとする部下と一緒です。本来の仕事内容ではないですね。
ナス そうですね。子どもの顔色を伺って毎日暮らしています。娘に何を言われるかビクビクしながら暮らしていますね。
岸見 子育ての目標って知ってますか?
ナス いいえ、知らないです。