また、ECBでは、金融政策の一環として「マイナス金利」が採用されました。民間銀行がECBに預ける預金の金利をマイナスにするということです。銀行はECBへの預金をしていても損になるので取り崩し、民間への貸出を増やそうとすることになりました。このマイナス金利の導入は、日本銀行のマネタリーベース(通貨量と当座預金残高)を倍増させようとする政策と“逆”であり大変興味深いものです。

 今後のECB理事会における量的金融緩和の議論におけるドイツの踏ん張り、そして、アベノミクスとして欧州と反対の金融政策を採用する日本銀行のこれからの対策(さらなる金融緩和と出口戦略)が対比として注目されます。

 筆者は「経済政策は“教育”」と考えています。その場しのぎの短期的な対策よりも、長期的な成長をねらった対策こそが望ましい。おかしくならないからいいというよりも、生き方の問題ではないでしょうか。

※本連載は宿輪ゼミや大学講義、そして自身の研究に基づく個人的なものであり、所属する組織とは全く関係はありません。

しゅくわ・じゅんいち
経済学博士・エコノミスト。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年に富士銀行に入行。国際資金為替部、海外勤務などを経て、98年に三和銀行企画部に移籍。合併でUFJ銀行、UFJホールディングス経営企画部等に勤務。兼務で、東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)、慶應義塾大学経済学部等で非常勤講師として教鞭。財務省・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会に参加。2006年よりボランティアによる公開講義宿輪ゼミを主催し、映画評論家としても活躍中。主な著書に『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか』(共著、東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』(日本経済新聞社)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』(東洋経済新報社)がある。
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