研修では、原稿を読む練習の他に、台本なしで話す「1分間フリートーク」や、屋外に出て目に映るものを描写してレポートするなど、自分の言葉で話す練習も行います。
研修では「『4月』は頭高ではなく、尾高で読んでください」といったやりとりをするので、アナウンス技術を伝えるために共通言語を持つ必要があるからです。その他、テキストには早口言葉のような滑舌を鍛える練習文なども載っています。
「自分のリズム」で話してはいけない
こうして3ヵ月の研修を終え、番組に配属されるわけですが、清水さんとしては「本当は1年ほどかけてじっくりと研修を行いたい」のだとか。ただ、現場からは「新人を使いたい」という声があり、男女問わず、早期に新人をデビューさせる傾向が強まっています。
「アナウンサーは新人であることも価値。まだ拙く初々しい新人アナウンサーが育っていくのを視聴者の方々が楽しむ、というところもあるようです。こちらとしては『新人といえども甘えは許されない』としっかり訓練しているのですが…」。
新人にフレッシュさを求める現場と言葉のプロとして育てたい育成担当者の間には苦しいギャップもあるようです。
では、3ヵ月の研修を終えた後、アナウンサーは現場でどのようにして学んでいくのでしょうか。現在、夕方の報道番組「Nスタ」(月~金15時50分~ 19時)のキャスターを務める入社7年目の加藤シルビアさんにお話を伺いました。
学生時代からアナウンススクールにも通っていた加藤さんですが、研修中は特に「自分のリズム」ではなく「聞いている人にとってわかりやすいリズムで話す」ことの難しさに直面したといいます。
「自分の節、癖というものはなかなか気づかないもの。研修の3カ月間は、その後20~30年のアナウンサー生活を続けていくために『耳を養う』ことを学んだ期間でしたね」
この後、加藤シルビアさんは「はなまるマーケット」や「みのもんたの朝ズバッ!」などの人気番組で脚光を浴びるようになります。現場で経験した学びの瞬間とは――。【後編】の「Reflection 中原淳の視点」もお楽しみに。
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