不良債権の処理を迫られる引き金になるなど、銀行界では泣く子も黙る金融庁による立ち入り検査。しかし、この2月から始まる検査は今までの常識が通用しない別物になるという。銀行界は間もなく直面する想定不能な“新時代”の検査に身をすくめている。

 あおぞら銀行、東和銀行、福井銀行、島根銀行、高知銀行──。2月3日、金融庁のホームページに「情報を募集している金融機関」として、幾つかの銀行名が挙げられた。

不良債権のあぶり出しから収益性の確認へと、銀行検査の内容を改革した金融庁。短期間でのピンポイント検査となるもようだ
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「銀行へ予告をしたので名前を載せた」(金融庁幹部)。金融庁は監督官庁として銀行への立ち入り検査を行う権限を持っている。そして、検査の際には対象となる銀行へ予告すると同時に、その銀行の情報を広く集めるため、検査に入る銀行の名前をこれまでもホームページに掲載してきた。

 しかし、いつものことであるはずなのに、地方銀行界の視線はくぎ付けになった。というのも、ここに名前が挙がった銀行は今までとは違う未知の検査を受ける“被験者”第1号になるからだ。

 検査内容はガラリと変わることになる。これまで重要項目の一つだった資産査定がなくなるのだ。

 一大ブームとなった、銀行を舞台にしたテレビドラマ「半沢直樹」。その中で、経営が傾いた取引先への融資をめぐって金融庁が銀行を問い詰めるシーンがあったのだが、それがまさに資産査定だ。

 銀行は融資が焦げ付いて不良債権化するリスクに備えて、貸倒引当金をあらかじめ積まなくてはいけない。融資先の企業が健全であれば引当金は戻ってくるが、業績が悪化すると倒産リスクの高まりに応じて引当金を積み増し、損失を追加計上する必要も出てくる。