成長戦略って何をしているの?

 消費者のマインドを変えるよりも、もっと大事なことがあります。それが「成長戦略」です。アベノミクスの“1本目の矢”金融緩和、“2本目の矢”財政出動は、多少の効果はあったものの、日本経済を浮上させる威力はありませんでした。となると期待は“3本目の矢”成長戦略に期待が集まります。

 もともと、金融緩和政策と財政出動は、一時的にしか効かない栄養ドリンク剤のようなものです。これらをやっても、経済の実力が上がるわけではありません。これら金融緩和・財政出動の政策が終わってしまえば、景気はまた元に戻ってしまう可能性があります。そうならないようにするために、経済の実力を引き上げなければいけないんです。そのために行うのが、「成長戦略」です。

 ほほぅ、なるほどね。これで安心できる。

 しかし正直なところ、この成長戦略は「まだ何も始まっていない」と言ってもいいくらいです。最重要の政策なので、もっと素早く手掛けてほしいところですが、ほとんど進んでいません。成長戦略では、「女性が輝く社会に!」や「新しい市場を創ろう」など、日本経済の実力を底上げする作戦が掲げられています。その中でも重要な作戦「外需を取り込む」というテーマを次に解説していきましょう。

 これからの日本は、海外にもっと商品を売らなければ!

 日本は少子高齢化の社会です。これは「人口の平均年齢が上がる」ということだけではなく、人口が減っていくということでもあります。

 そして、人口が減っていけば、お客さんの数も減っていきます。お客さんが減っていくということは、同じように商売をしていても、どんどん売上が減っていくということです。商品の質が変わらず、これまでと同じようにがんばっても、商品がなかなか売れなくなるわけです。売上が減れば、社員の給料も減っていきます。とすると、国民一人一人が使えるお金も減っていき、ますます商品が売れなくなってしまいます。

 う……。大変だ……。

 そうですね。すぐにお客さんが来なくなるわけではありませんが、確実に減っていきます。何か対策をしなければいけません。そのためのキーワードが「外需を取り込む」です。

 外需? それ、何?

「外国からの需要」です。つまり、外国人に買ってもらう商品ということですね。国内の消費者が減るので、海外のお客さんに買ってもらおうということです。

第1回で紹介した「誰が商品を買うか」を改めて思い出してください。商品を買うのは、「国民」と「企業」と「外国のお客さん」でしたね。この3者のどれが増えても、日本の商品が売れることになり、日本経済が活性化することになります。

 で、どうすれば外需を取り込めるの?

 やり方は二つあります。一つは(1)「日本を外国にアピールする」、もう一つは(2)「外国のみなさんに日本に来てもらう(観光客を増やす)」です。