消費者がわざわざおカネを出してお茶を飲むはずがない――。そう言われている中国に乗り込み、日本よりも高い価格設定にもかかわらず、「烏龍茶」「黒烏龍茶」を大ヒット商品に育て上げたのが、サントリーである。日本国内でキリンとの統合を決めた同社は、今後「規模の論理」をテコにして、さらなるヒット商品を模索する。挫折を味わう日系企業が少なくないなか、何故同社はそれほど強いのか? その秘密を、サントリー上海(三得利(上海)食品貿易有限公司)の福山泰広・董事長・総経理に聞いた。
「中国ではニセモノは通用しない」と断じるサントリー上海(三得利(上海)食品貿易有限公司)の福山泰広・董事長・総経理。お茶の本場・中国に日本の烏龍茶を根付かせた舞台裏を明かす。 |
――福山董事長のこれまでのご経歴を教えてください。
1978年にサントリーに入社して以来、海外事業に多く携わってきました。長い間、ニューヨークやアトランタでセールス&マーケティングやM&Aを担当しました。現在の上海での仕事は、2006年からです。サントリーの中国事業は、酒類、飲料、レストランと3つの業態がありますが、私は飲料ビジネスの経営を担当しています。
――中国における御社の飲料事業は、いつ頃どのようにスタートしたのでしょうか?
97年に、ペットボトルの烏龍茶とオレンジジュースを製造販売したのが始まりです。これは2つの意味で、中国初の画期的な試みでした。
1つは、中国で初めてペットボトルの飲料を販売したこと。もう1つは、当時「中国人がわざわざお金を出してお茶は飲むはずがない」と言われていたなか、茶飲料を販売したことです。
中国での販売当初から、日本でも販売している「無糖」烏龍茶の他に、、甘いもの好きの中国人向けに「低糖」烏龍茶という砂糖の入った商品も販売しています。今では、中国で売られている茶飲料のほとんどが砂糖入りなのですが、弊社の烏龍茶は逆に「無糖」烏龍茶の方が売れています。
――日本と比較して、中国の清涼飲料市場にはどんな特徴がありますか?
欧米や日本で過去に起こった変化が、ここ中国でも今起こっています。