必要なデータは、数字で把握する
――説得力ある提案をしたいという課題

数字というのは、説得力に大きく寄与します。必ずしも1の位までの細かい数字である必要もなく、概算でも構いません。もちろん、1の位までパッと口にすることができるのであれば、ポイントになるところでは有効に働きます。

 若い頃の僕は数字が苦手で、企画の意義や狙いばかりを強調していました。しかし、あるときから、決め所では具体的な数字で話すように改めました。

 たとえば、
「日本の全国民にとって」
 と言うよりも
「日本の1億3000万の全国民にとって」
 と話したほうが聞いているほうは、イメージが湧きやすいものです。

「広告ビジネス全体に与える影響も考慮して」
 と言うよりも
「年間6兆円規模の広告ビジネス全体に与える影響も考慮して」
 と言ったほうが、現実味を帯びます。

 自分がよく話題にする領域については、概算の数字でいいので覚えてしまうのがおススメです。さらには、自分の専門に近い部分、その日のプレゼンのキモになる部分について、1の位までの細かい数字を提示するのも、効果的です。僕の研究領域の1つでもある国際広告賞についてなら、

×「世界最高峰の国際広告祭カンヌライオンズには、世界中からたくさんの応募作がありまして」
○「世界最高峰の国際広告祭カンヌライオンズには、2013年は92ヵ国から3万5765点の応募がありまして」

 と具体的な数字で示します。そのことによって、聞いている人が把握しやすくなり、また、専門家としての信頼性が増していきます。

 僕の大好きな村上春樹さんは、この「数字の威力」の素晴らしい使い手です。