採用時の「推薦状」から見える人となり。
キャリア志向より日々の充実感

吉里裕也(よしざと・ひろや)
株式会社スピーク共同代表/「東京R不動産」ディレクター。株式会社スペースデザインを経て独立。「東京R不動産」の運営・展開のリーダーシップをとるとともに、建築・デザイン・不動産・マーケティング等を包括的に扱うディレクターとして多くのプロジェクトを推進している。

吉里:採用についてはどうでしょう。僕らはまだ人数も少ないので、ウェブサイトの「求人のお問い合わせ」から、丁寧にメールを書いて履歴書を送って、という通過儀礼を設けています。例外はありますが。少なくとも求人サイトには出していませんね。

篠田:ほぼ日も、求人サイトには出していません(笑)。ほぼ日のサイトで募集をかけ、何回も面接を重ねます。例えば、1月に入社した編集のメンバーは、書類提出、面接だけで3回ありました。最初の書類には推薦状をつけてもらうんです。推薦状を書くのは「あなたをよく知っている人」。仕事上の推薦状というわけではなく、人としての推薦状です。

 ご家族が書かれることが多いのですが、そうなると、当人と書いてくれる人の関係が見えるんですね。そこで推し量れるものをすごく大事にしています。入社して何年も経つのに「あの人のあの推薦状がよかった」と語られるケースもあるくらいです。

:定着率はどうなんですか? 独立するつもりの人が多いとか。

ほぼ日・奥野:そういう雰囲気は、いまのところないと思います。

篠田:会社員ではありますが、いわゆる終身雇用のような、一生ここで無事に勤め上げるようなイメージも薄いと思います。ただ、たいていの人は、できることなら今の形が長く続くといいなと思っていますよね。

:そこは似ていますね。終身雇用を考えるわけではないけれど、キャリア・ステップみたいなことを考えているわけではない。戦略的ではなく本能的に、やりたい形で充実した日々を送りたいからここで働いているというか。フリーエージェント・スタイルか、会社員かという違いはありますが……。