実は、その前の年、つまり2000年のゴールデンウイークは、NHKの5日間連続衛星生中継番組「雲南の春」の取材と中継に携わったため、雲南省の楚雄、大理、麗江で過ごした。アナウンサーの森田美由紀さんとはじめて一緒に仕事をした。

 そして、期せずしてその年のゴールデンウイークもまた雲南で過ごすことになった。しかも、また森田さんと一緒の仕事だった。森田さんが現地リポートする「ニュース10」と日本人のルーツを探し求めるNHKスペシャル番組「日本人――遙かなる旅」の取材に同行したためだった。

世界遺産に認定された雲南省元陽の美しい棚田

 ただ、2000年の撮影現場が人気のある観光地であったのに対し、2001年はそれほど知られていない元陽だった。省都・昆明市から車で山道を8時間も走ってようやく辿り着く秘境の地であった。

 長時間の車移動ですっかり痛くなったお尻を撫でながら、車を降りると、目の前に広がる絶景に息を呑んだ。海抜800メートルの谷間から2400メートルの山のてっぺんまでが全部水田だった。

 棚田がまさに天にも届こうとするこの光景に完全に圧倒され、かつて詩人を目指したこともあった私はこの「無言の詩」と賞賛された絶景を目の当たりにし、心に沸き立つ感動を表現する言葉を何一つ見つけだすことができなかった。いや、この言葉を探しだそうという努力さえもあっさりと放棄した。どんなに美しい言葉を並べたとしても、この雄大な景色を描ききることなど到底できないと思ったからだ。

 そこで撮影した映像はのちに、NHKのニュース番組とスペシャル番組になり、雄大かつ秀麗な元陽の棚田は、日本のゴールデンウイークに華を添えたと思う。

文革時代に強いられた
農村での過酷な労働

 しかし、撮影現場にいた私は、重い気持ちに沈んでいた。文化大革命時代、私は農村に飛ばされ、5年間近く過酷な野良仕事をしていた。

 当時の私たちはこのあまりにも過酷な労働をすこしでも美しく表現して、理想を失った自分たちを奮い立たそうといろいろ工夫した。その一つとして、自分たちの労働を「地球を刺繍するものだ」と表現した。しかし、勇壮な、献身的な精神を褒め讃えようとするこの表現は実際には、多くの人々に、悲しげで無力な嘆きとしか聞こえなかったようだ。