「会社の歴史」を知れば、
パワー・バランスの秘密がわかる
【パワー・バランスをつかむ方法(6)】
会社の歴史をひもとくことも大切です。
社史にはざっと目を通しておいたほうがいいでしょう。なぜなら、現時点でのパワー・バランスは、必ず過去の歴史を背負っているからです。
たとえば、鉄道事業で創業した会社を想定しましょう。すでに鉄道網がかなり整備されている現代において、鉄道部門の事業拡大は容易ではありません。そのため、会社の成長のために不動産事業をはじめ多種多様な事業を展開しているはずです。そして、実績好調な部門が人員も予算も拡大させている一方、鉄道部門は赤字に陥っているかもしれません。しかし、こうした歴史的背景をもつ会社では、鉄道事業の役員のパワーが簡単に削がれることはないでしょう。
あるいは、合併の歴史のある会社もあります。
もしも、あなたが合併後に入社して課長になったとしても、上層部には合併企業と被合併企業の力関係が残っているケースは多いはずです。その場合には、その歴史的経緯も踏まえながらパワー・バランスの「実態」を探らなければなりません。
【パワー・バランスをつかむ方法(7)】
可能な限り過去に遡って、組織図を入手するのも一手です。
時代順に組織図を追いかければ、どの部門がどのように勢力を広げてきたか、あるいは衰えていったのかが手に取るようにわかります。派閥対立のある会社であれば、両者の勢力がどのように推移していたかも知ることができるでしょう。時代ごとの部門ごとのボスも把握できれば、より生々しく上層部のパワー・バランスのありようと推移を把握できます。そして、「今」がどういう時期なのか、という洞察を深めることができるはずです。