「人事」と「予算」で組織図を読み解く
まず、課単位で見てみましょう。たとえば、営業部に第1営業課から第3営業課まであるとします。そして、部長が人事権を掌握しており、3つの課への予算配分・人員配分を司っています。その3つの課のパワー・バランスを推測するためには、まず、それぞれの人員数と予算を見ることです。部長への影響力をもつ課長ほど、人と予算を引っ張ることができるはずだからです。
このような要領で、さらに上層部のパワー・バランスを探っていきます。
開発部門、営業部門、製造部門、総務部門……。数ある部門のなかで、どこの予算や人員数が多いでしょうか? そして、その部門を牛耳っているのは誰でしょうか? もしかすると、複数の部門を牛耳る人物がいるかもしれませんから、その場合はすべての部門のパワーを合算します。このように組織図をたどっていけば、役員レベルでのパワー・バランスがうっすらと見えてくるはずです。
もちろん、これはあくまで「仮説」です。
たとえば、往々にして総務部門は人員数は比較的少ないものですが、人事部や財務部が「ヒト」と「カネ」を掌握していて、社内に隠然たる影響力を有しているケースもあります。
また、いまだ予算も人員も少ないけれど、有望な新規事業をテコ入れするために、有力者にその部門の長を任せているケースもありえます。逆に、有力部門の長を任されているけれども、真の有力者の傀儡(かいらい)で実権はもたないケースもあるでしょう(社長ですら、そういうケースがあります)。
ですから、日頃から社内動向を観察することによって「実態」を探り、パワー・バランスの「仮説」を修正していくことが重要です。