発酵とは何ぞや──。両者の間で出口のない“神学論争”が勃発する事態になっている。

 実は、酒税法には、発酵状態であると判断する定量的な基準は示されていない。神学論争ともなれば、酒類業界の監督官庁たる国税庁が有利なのは自明のことだ。サッポロの抵抗むなしく、国税庁は、発酵は不十分という姿勢を貫き、要求を突っぱねた。

急先鋒は武闘派社長?

 このバトルに終止符を打てるのは司法判断しかないのだが、サッポロが提訴に動くのは厳しいとみられている。というのも、「国税庁に目を付けられると、ささいなことでも査察に入るなど、営業活動がやりにくくなる」(ビールメーカー幹部)からだ。

 すでに、今回の一件でサッポロが国税庁に盾突いたことで、業界内からは「よくあそこまでやるなぁ」とサッポロを心配する声が上がるほど。「2007年以降、米ファンド、スティールパートナーズからの買収阻止で矢面に立って戦った経験を持つ、武闘派の上條努HD社長の意向が強いのでは」(サッポロ元幹部)とみる向きが多い。

 サッポロがのろしを上げたことで、国税庁が牛耳る酒税法上のグレーゾーンがあらわになった意義はある。しかし、その代償は115億円と国税庁との友好関係。サッポロが失ったものはあまりにも大きい。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)