この連載では、維新の党が本来追求すべき政策は、「大阪都構想」以上に、「道州制」であるはずだと指摘した(第69回)。道州制こそ、国から地方が権限と財源を奪うのに、最大の武器となりえるのである。

 なぜなら、「道州制」の実現には「憲法改正」が必要になるからだ。憲法改正こそ、安倍首相が最も「やりたい政策」なのである。つまり「首相の最もやりたい政策への協力」という、野党が首相に対してネゴシエーション・パワーを持てる数少ないカードになりえるかもしれないからだ。

 従って松野新代表は、野党再編もいいが、安倍首相の「憲法改正」の話を単純に拒絶すべきではないと考える。むしろ、再編に動くならば民主党を割って、「護憲」に拘って、改憲の入り口にすら立たず、結果として「新しい人権」を憲法に含める「加憲」すら拒否する者を追い出す形での、野党再編を模索するくらいの戦略性を持ってもいいのかもしれない。

 そして、以前からこの連載で主張してきたが、維新の党が国政で道州制を提起する場合、現在のような中途半端な勉強不足の案では不十分である。国会改革も含む、国家統治機構改革のグランド・デザインを構想すべきだ。特に、参院の改革について、よく欧米の事例を研究してもらいたい(第66回)。

 維新の会は、参議院を廃止する「一院制導入」を公約としてきた。だが、以前論じたように、一院制導入と「道州制導入」を同時に主張するのは、世界の議院内閣制の現状から、違和感がある。州を創設して地方分権を進めている国家は二院制を採用し、上院を地方代表の府としているからだ。道州制と一院制を組み合わせた制度を導入すれば、それは世界的に極めて変わった制度設計となるのだ。

 日本維新の会が地方主権を目指すなら、参院廃止よりも、参院を地方代表の府に改革し、国の意思決定に直接関与することで地方主権を実現していくことを考えるのも悪くないではないか。例えば、「大阪都構想」のような地方の統治機構の改革に再び取り組むならば、その時は、国会議員頼みではなく、地方が自らが国の意思決定に関与して決めることができるようになるのだ。

 参院改革には、憲法第43条の「衆議院・参議院を並立させている両院制」の見直しという「憲法改正」が必要となる。憲法改正に積極的な安倍政権の今こそ、抜本的な統治機構改革の絶好の機会であると維新の党は認識すべきだ。

 憲法制定時に想定されていなかった「統治機構の改革」や、「環境権」「プライバシー権」「知る権利」「知的財産権」「犯罪被害者の権利」など「新しいタイプの基本的人権」を追加する「加憲」から、維新の党や民主党などの野党は逃げるべきではないと考える。それが、憲法改正委への国民のアレルギーを減らして、9条改正につながってしまうという懸念は確かにある。しかし、それは「加憲」とは本質的に違う次元の話ではないか。国民に対して加憲に理解を求める一方で、9条改正への反対に理解を求めていくことは可能だ。日本国民は、それほどバカではないはずだ。