大阪市民は目先のパンを求めた?
「都構想」否決に無念を感じる
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2015年5月17日(日)、大阪市の運命を二分する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われた。著者が幼少期を過ごした大阪は、生まれ故郷というだけではなく「浪波節」という人との絆を教えてくれた場所。任侠映画の舞台になったことも多く、リーゼントが最も似合う「人生の約束の地」であり、最も愛する都市の1つだ。
しかし、結果はご存じのとおり。巨額の地方債残高を抱える大阪市に、大阪市民は「存続のGOサイン」を出したのだ。著者はしばし唖然とした……。「これで大阪は、もう世界から見限られた」と。
かつて大阪は、第二の東京を目指していた。それは日本の他の都市も同様だ。しかし、東京は東京であるがゆえの発展を遂げたわけで、同じことをしても大阪は東京にはなれなかった。
では理想論でなく、今大阪が発展するにはどうすればいいのか。そうした議論の中で生まれたのが、大阪都構想だった。大阪府と大阪市の二重行政を解消し、大阪都となって一元管理の下で無駄を省き、意思決定を迅速化する狙いがあった。
少子高齢化の進展もあり、外に門戸を開いて経済発展せざるを得ない大阪が、世界からヒト・モノ・カネを惹きつける国際ハブ都市へと生まれ変われるかどうかの一大決議であったにもかかわらず……結果は「反対」。
都構想の理念はベストではないかもしれないが、このまま雪ダルマ式に市債を増やすよりベターな策ではあったはずだ。シンガポールでは、著者の友人たちも今回の決断に注目していた。おそらく、世界中の投資家・ビジネスパーソンが見守った住民投票であったに違いない。
投票日の翌日、ワイドショーなどで報じられた反対派のコメントは、以下のようなものだった。
「バスの優待がなくなるのがイヤ」「町の名前に愛着がある」「都構想がよくわからない」