自分の事業を特殊化するな

 概念化・抽象化のアンテナが磨かれていくと「自分の事業を特殊化しない」ことの重要さに気がつきます。

「金融業は特殊」
 「医薬業界は特殊」
 「航空業界は特殊」

 ついそう考えがちですが、特殊であると考えたとたんに、自分たちだけのタコツボにこもり、まわりの言うことを聞かなくなります。

 どんな事業でも、商品やサービスを提供し、顧客から対価をもらっていることに変わりはありません。たとえ無料のビジネスモデルでも、どこかに対価を払う人がいます。

 概念化・抽象化の意義を理解すると、経営学を実務に適用できるだけでなく、他産業の事例からも、有益なヒントが得られるようになります。

 しかしながら概念化・抽象化はリーダーの必要条件ではあっても、十分条件ではありません。

 他にもリーダーシップやコミュニケーション能力、人格など、必要な資質があります。また、行き過ぎた概念化・抽象化は弊害を招くこともあります。

 現地現物を無視して、すべてのことを抽象化・概念化で判断しようとすると、とんでもないことになります。

 また、抽象化・概念化を駆使して作った戦略は、現場の人がわかるように徹底的にシンプルでわかりやすくなっていなければ、実際には、機能しないことにも注意が必要です。

※次回は、6月11日(木)に掲載します。