東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループなど、人材育成と事業変革を同時に達成する「伝説の研修」で多くの幹部人材を輩出してきたカリスマ講師が、次世代の幹部人材になるための要諦を説く連載。第2回は、経営学を学ぶうえで欠かせない要点は何かについて解説する。

経営学を学ぶうえで欠かせないもの

高山信彦[株式会社イナクト代表取締役]   1956年山口県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、富士ゼロックス株式会社に入社。在職中の87年~88年に慶應義塾大学大学院経営管理研究科に派遣され経営学修士号(MBA)を取得。91年に「株式会社イナクト」を設立し、同社代表取締役に。以来、一貫して選抜人材を対象とした企業内ビジネススクールを企画・運営の仕事をする。東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループ、商船三井、全日空、パナソニック電工などの大手・中堅企業等で、25年にわたって、のべ5000人以上の生徒を教える。その多くで経営トップのコミットのもと、将来の幹部候補生たちが「経営学」を武器として身につけ、会社の方向性そのものを変えていくような人材に育つのをサポートしてきた。著書に『経営学を使える武器にする』(新潮社)がある。

 ひと口に「経営学を学ぶ」といっても、その範囲はもちろん膨大なものです。

 ここでは、私が主宰する「経営塾」で課題図書にしている名著を読み進めるうえでのポイントについて解説します。

 塾生にいつも伝えている「経営学を学ぶうえで、これだけは欠かせないというツボ」に絞って解説していきます。

今、何を学んでいるのかがわからないと始まらない

 経営学の学習は、古典の徹底的な精読が基本です。これは辞書のように経営書を使いこなし、頭にインプットするようなイメージです。

 しかし、それぞれの本に取り組む前にまず知っておいてほしいのが、次ページに示した、経営戦略の構造図です。

 まず、次の図を5分間しっかりと見つめ、暗記してみてください。

 次に、暗記できたら本を閉じて、この図を紙に書いてみてください。何割くらい再現できるでしょう?