経営資源の差に成功要因を見出す資源アプローチ

(2)資源アプローチ

 自社の内側に注目し、経営資源の差による成功要因を突き詰めるのが、4つのアプローチの図の左下の資源アプローチです。この代表と言えるのがジェイB.バーニーです。

 これは、経営資源の異質性(企業は生産資源の集合体=束であり、個々の企業ごとに経営資源が異なる)と経営資源の固着性(経営資源にはマネするコストが非常に大きかったり、その供給が非弾力的なものがある=都心の駅周辺の土地など)に注目する方法論です。

経営学には「4つ」の種類がある(前篇)高山信彦[株式会社イナクト代表取締役]   1956年山口県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、富士ゼロックス株式会社に入社。在職中の87年~88年に慶應義塾大学大学院経営管理研究科に派遣され経営学修士号(MBA)を取得。91年に「株式会社イナクト」を設立し、同社代表取締役に。以来、一貫して選抜人材を対象とした企業内ビジネススクールを企画・運営の仕事をする。東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループ、商船三井、全日空、パナソニック電工などの大手・中堅企業等で、25年にわたって、のべ5000人以上の生徒を教える。その多くで経営トップのコミットのもと、将来の幹部候補生たちが「経営学」を武器として身につけ、会社の方向性そのものを変えていくような人材に育つのをサポートしてきた。著書に『経営学を使える武器にする』(新潮社)がある。

 経営資源には、人的資源(個々の人材の能力と経験、教育訓練)、物的資源(オフィス、工場、店舗、設備、立地)、財務的資源(金銭的資源)、情報的経営資源(目に見えないものでノウハウ、ブランド、チャネル)等があります。

 顧客から見て特別な価値のある商品、サービスを生み出す自社ならではの経営資源とは何かを意識し、それを強化したり、他社の模倣不可能性を高めるのが、この資源アプローチです。

 顧客が誰か、顧客が何を重視しているかによって、必要な経営資源は異なります。

 自動車業界であれば、スズキとベンツとポルシェでは、客層も求めるものも違います。

 また、資源アプローチとポジショニングアプローチは、どちらか一方さえやればいいというものではなく、両者のバランスが大事です。セットで考えねばなりません。