アメリカ支社の秘書の姿を見て
秘書改革に乗り出した人事部長も

 さて、次に、秘書室の役割や機能を再定義し、秘書(広義には、女性社員)の働き方を見直すことに真剣に取り組んでいる企業をご紹介しましょう。

 某大手日本企業に勤めるA氏は、40代半ばにして、ニューヨーク支店に転勤となりました。そこで見た光景は、「秘書がイキイキと楽しそうに働いている姿」でした。それは、秘書職に限ったことではなく、多くの女性社員がそうだったそうです。

 それは、日本本社では一度も見たことのない光景。

「このままではいけない」という焦燥感、そして、「日本本社の女性社員が、今までのような働き方をしていてはいけない」という強い思いから、ニューヨーク支店で働く女性社員にインタビューをしたそうです。

 そこで浮き彫りになった日本本社とニューヨーク支店との間でのギャップを埋めるべく、帰国後、人事本部長に就任したA氏はまず、秘書室の改革を提案しました。秘書室は、女性社員ばかりで構成されていたため、これからの時代における女性社員のロールモデルになってもらいたい、女性社員の働き方を変えるきっかけになってもらいたいという思いから、秘書室の改革から着手したのです。その改革案に対して、秘書室長は、「待っていました」と言わんばかりに、同意をされたそうです。

 そのタイミングで、私は、秘書の皆さんに講演をさせていただくことになりました。ランチの時間をはさんでの90分という短い時間でしたが、講演が終わる頃には、秘書の方達の目がキラキラと輝き、意気揚々としている様子が手にとるようにわかり、その姿を見て、思わず涙ぐみそうになりました。

 人は、活躍の場が与えられると、嬉しいものです。

「やってもいいんだ」「やってもいいいのね」という思いが、人の心を鼓舞させます。さらに、経営層や上司、周囲からのサポートもあるとなると、なおさらです。不安があっても仲間がいれば、心強いものです。

 その改革の波が、どこへたどり着き、どのような結果をもたらすのか。今では、秘書室のメンバーでプロジェクトチームを組み、自主的・自発的に改革をすすめ、理想の秘書室へと向けてプロジェクトが進んでいます。

 後日、A氏と話しをする機会があり、なぜ秘書室から改革をしようと思ったのか、詳しく聞いてみました。すると、「組織の持続的成長のために、これまでの働き方に疑問を投げかけ、経営層一人ひとりが働き方を見直す必要がある。経営層一人ひとりの仕事の生産性を高めていくためには、秘書の力がどうしても必要だった」とおっしゃっていました。

 今回は、2つの企業の例をご紹介しました。少子高齢化が進み、労働人口が減少するなか、今後成長していく企業はどちらのほうか、明らかではないでしょうか。

 日本では、秘書として働く人たちのほとんどが女性です。昨今の「女性活躍推進」の流れが、ひとつの「ブーム」として終わることなく、日本社会における「企業文化」として定着するよう、ひとつずつ改善、そして、改革をしてゆかなければなりません。

 どんなことも、勇気ある行動からはじまります。さぁ、皆さんは、どんなことから始めていきたいですか?