「特権階級の娯楽」「環境の敵」
として大衆の支持は低い

 ゴルフ場閉鎖についての有力説の1つが「環境対策」だ。日本でも1990年代に農薬の有害性からゴルフ場建設に対する反対運動が各地で起こったが、中国では市民運動に代わって中央政府が「環境保護」を旗印にゴルフ場を封じ込めた。

 北京に在住経験があり、また中国のゴルフ事情に詳しいN氏は、「日本のゴルフ場なら調整池が当たり前のようにあるが、中国にはこれがないところが多い」と指摘する。調整池は汚水を貯めて浄化して使う施設で、日本では必須の付帯設備である。

 民衆の根強い反発もある。一部の中国人は、“アンチ環境型スポーツ”であるゴルフを快く思っていない。内モンゴルの砂漠の拡大で水の枯渇に瀕する北京の市民なら、なおさら敏感だ。

 北京のゴルフ場は70ヵ所あるといわれるが、ある環境団体は「それらゴルフ場が消費する1年の水の消費量は4000万立方米だ」と現地メディアに訴えた。これは同市の東城区と崇文区の2区の年間使用量に相当するという。

 平均面積100ヘクタールともいわれるゴルフ場の芝への大量の散水は、とても看過できない行為だ。しかも、有害な除草剤が溶け出せば、ひいては地下水・ダム・川などの水質汚染につながる。

 それだけではない。ゴルフ場開発そのものが、耕地面積を減らすことにもつながっているのだ。中国では過去十数年にわたって土地の乱開発が続いた結果、耕地面積が著しく減少し、「国民を養える限界値」に到達してしまった。

 そもそも、中国においてゴルフは大衆のスポーツではない。ゴルフ人口にして42万人程度(2013年)とされる“貴族の運動”に対し、民衆は「ゴルフ産業の発展と私たちの生活向上とは無関係だ」と冷ややか。電子メディアが行った調査では実に9割近くが、閉鎖をはじめとするゴルフ業界の整理・再編に賛同している。

宅地開発と抱き合わせで
不動産業者が次々と乱開発

 日本でもそうだったように、中国でもゴルフというスポーツは、乱開発の進行や不動産会社と政治家の癒着など、不正の温床となった。日本のような会員権の暴騰こそなかったが、それでも不特定多数に会員権を売りまくる沙汰も見られた。しかも、中国ではさらに高級化、特権化を極め、その普及は極めて限定されたものになった。