社内政治――。ネガティブな印象をもつ言葉ですが、実は「政治力」がなければ管理職は務まりません。どんなに優れたアイデアがあっても、どんなに理想が高くても、組織を動かせなければ何ひとつ実現できないからです。部署間対立、横暴な上司、反抗的な部下……。こうした「現実」のなかで、いかに社内政治を生き抜くか?『社内政治の教科書』の中から、その鉄則を紹介します。
プロフェショナルに徹して、
「好き嫌い」を捨てる
直属の上司を味方につける──。
これは、社内政治においてきわめて重要なポイントです。
直属の上司は、社内で政治的なアプローチをする際の唯一の「正規ルート」です。
「新規事業の承認を勝ち取りたい」「有望な新規プロジェクトを自分の部署に引っ張りたい」「人員増を働きかけたい」「トラブル案件の処理」「関係部署との利害調整」……。
これらのアクションを起こすときには、必ず直属の上司を通して動くのがサラリーマンの原則。上司を味方につけておかなければ、うまく物事を進めることはできません。
しかも、上司はあなたの人事評価をする、もっとも身近な「権力者」です。万一、上司を「敵」に回せば、あなたにとって最大の障壁となってしまうでしょう。
まず重要なのが、「好き嫌い」を捨てることです。
人間には相性というものがあります。これは理屈を超えたものですから、いかんともしがたいものです。しかも、上司を選ぶことはできません。どうしても好きになれない上司につくこともあるでしょう。そのようなときに、「嫌い」という感情が相手に伝わってしまえば、上司は簡単に「敵」になってしまいます。
だから、仕事をするうえでは「好き嫌い」という感情を捨てることです。決して難しいことではありません。上司をクライアントだと捉えればいいのです。誰でも、顧客に対しては「好き嫌い」を超えて、きちんと対応しているはずです。それが、プロフェショナルというもの。上司に対しても、同じマインドで接すればいいのです。
言い換えれば、「役割」を演じ切るということでもあります。会社とは、あくまでも仕事をする場所です。「部長」は「部長」という役割を演じ、「課長」は「課長」という役割を演ずる。本来、そこに「好き嫌い」という感情を交える必要はありません。たとえ嫌いな上司であっても、その部長に対して課長という役割を演じ切ればいいのです。プロに徹することが、「好き嫌い」を捨てることだと言ってもいいでしょう。