「えっ!」
 と公平が驚きの声を上げた。夢は、その公平の顔を見ながらこう言った。
「さっき公平さん、こう言いました。『マネージャーだけ五人も集まるなんて、予想もしてなかったよ』って」
「確かに!」と公平も目を丸くして言った。「これって、もしかして予期せぬ成功なの?」
「そうです!」と真実が頷いた。「私たち、野球部を再開してまだ間もないのに、すでに五人ものマネージャーが集まったんですよ。これを成功と言わず、なんと言うんですか!」
「なるほど……確かにそうだよな。野球部を再開したときは、まずは部員集めが課題だと思っていたんだけど、なんの募集もなしにマネージャーだけ五人も集まるなんて、思ってもいなかったもんな」
「この『予期せぬ成功』を活用すれば、イノベーションの機会が見つけられるんじゃないでしょうか。ドラッカーは、こういっています」

予期せぬ成功がもたらすイノベーションの機会を利用するには分析が必要である。(一九頁)

「だからまずは、なぜ五人もマネージャーが集まったのか──その『分析』から始めませんか?」
 そこで、洋子が声を上げた。
「分析って、どうやってするの?」
 それに対し、真実は腕を組んで束の間考え、それからこう言った。
「そうね。まずは、なぜそういう現象が起きたのか、調べてみるのがいいと思う」
「調べるって、どうやって?」