読む本の選定をプロに任せてみる

【津田】藤原さんの『本を読む人だけが手にするもの』では、最後に推薦図書がバーっとリストアップされていますよね。ここにある本の何冊かは僕も絶対読んでみようと思っています。

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本を読む人だけが手にするもの』(藤原和博[著]、日本実業出版社、本体1,400円+税)

年をとってくると、視野が狭くなりがちなんですよ、読む本のジャンルも。だから「人が推薦した本を読む」って、視野を広げる上ではすごくいいやり方だと思います。ウェブとかの情報は、こっちの気持ちを割と読んでくれてちゃうから、どうしても視野が広がらない(笑)。

【藤原】わかるわかる。アマゾンもものすごくこちらの期待を当てるのがうまくなってきた。本当にクリックしちゃいますもん。精度がすごく上がってるのがよくわかる。しかも意外と知らない本がふっと「いかがですか?」ってリコメンドされる。

これってリアル書店ではなかなか起こらないことだから、この点についてはやっぱりアマゾンの勝ちなんだと思う。だから、本屋さんはそこから抜け出して「ちょっと違うこと」をやらないとね。

僕は書店さんが主催する講演をやるときに、店長さんに「講演1時間のあいだに、どんな本でもいいから、僕が読んでなさそうなオススメ本を10冊選んでください。どんな本だろうと必ず10冊買うから」って頼むようにしているんです。

単行本は新刊もけっこうフォローしているから、文庫とか新書を中心に選んでもらったりして、だいたい1万円くらい。その10冊を文句言わないで、全部買う。そして片っ端から読む。これはものすごい刺激になりますよ。

【津田】なるほど~。それはすごくいい方法ですね。「たまたま降りてみた駅で食べたラーメンがうまかった」みたいな体験を、読書でも実現するというか(笑)。

【藤原】そうそう、そんな感じ(笑)。
僕もこれまでそれなりに本を読んできましたが、それでも「こんな小説家がいたのか!」という発見はいまだにあるんですよ。

【津田】ただ、当たり外れもあるでしょうね。

【藤原】もちろん。でもね、たとえば有隣堂の関内の店長さんに選書してもらったときは、10冊中7冊は「当たり」でしたね。いやー、恐ろしい人だなあと思った。本屋さんにはまだまだそういう人がいるんですよ。