「もっとアイデアの質を高めたい」「どうすればひらめきが出てくるのかを知りたい」研修をやっていると、そんなことを質問してくる人がいる。アイデアの質を高めるもっとも手っ取り早い方法は、アイデアの「総量」を増やすことである。しかし、「とにかくたくさん」アイデアを出せばいいというわけではない。キーワードは「広さ」だ。

「なるほど! そのアイデアもあったか!!」と思わず膝を打つようなアイデアをいとも簡単に出している人たちは、どんな手順を踏んで考えているのだろうか?
今回は『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか—論理思考のシンプルな本質』より、「3つのステップ」に沿って解説する。

パッと「いいアイデア」を出すように見える人は、何をやっているのだろうか?

アイデアの質は「総量」ではなく
「総量 × 広さ」である

以前の連載でも解説したことがあるが、アイデアの「」を高めたければ、アイデアの「」を増やさなければならない。ただし、やみくもにとにかくたくさんアイデアを出せばいいということではない。
重要なのは「広くたくさんのアイデアを出せているか」ということである。

たとえばできる限りたくさんの車を挙げる」という課題があったとき、こんな答えをする人がいる。

・ カローラ
・ クラウン
・ プリウス ……

また、こんな答えの人もいる。

・ セダン
・ ワンボックス
・ ミニバン ……

このときの問題は「発想の視点」が広がっていないことだ。
たとえば、「カローラ」「クラウン」「プリウス」というのは車種名だし、「セダン」「ワンボックス」「ミニバン」というのはボディ形状に基づく分類である。

発想が広がっていないときには、このように自分で無意識のうちに「枠組み」をつくり出してしまい、「その範囲内で」考えてしまっていることが多い。

だからこそ、「ベンツ」とか「トヨタ」とか「4WD」とか「軽自動車」といった答えを他の人が出したときに、「なるほど! そのアイデアもあったか!!」となってしまうわけである。

もちろん、ひょっとしたらその「見落とし」の中に、優れたアイデアが隠れているかもしれない。優れた発想をする人は、アイデアを拾い上げる能力が高い以前に、そうした「見落とし」が少ないのだ。

これを防ぐための具体的な方法を3つのステップに沿ってご紹介することにしよう。
モレが出ないように考えたいときには、次の3ステップを踏んでみるといい。

ステップ(1) ひとまず直感だけでアイデアを出す
ステップ(2) 大きなかたまりから分解
ステップ(3) 「下流」からも考えてみる