納期や予算を明言しないITエンジニア
システムを作ったり、改修する計画を立てていると、当然「いつできる?」「いくらくらいかかる?」が話題になります。その時に、作り手であるITエンジニアの歯切れが悪いな、と感じたことはないでしょうか。
即座に「1000万でできます!」などと明言するのは、よほど自信があるか、ノーテンキかのどちらかだと思います。
ほとんどのケースでは「うーん、数百万の後半だと思いますが……」「ちょっと部下の仕事の空き具合を調べてみないと……」と、明言は避けることでしょう。
もちろん、エンジニアが仕事を真面目にやっていないわけでもないし、生まれながらに慎重な性格というわけでもありません。
これまで、仕事を通じてさんざん痛い目にあってきた経験が、そうさせるのです。
今回は、ITにまつわるコミュニケーションの断絶と、そうなる理由について考えてみます。
1億でできると言ったじゃないか!
経営者とエンジニアが相互不信に陥る、典型的な会話を再現してみましょう。
経営:今回はいくらかかるんだ?
エンジニア:(何を作るかまだ決まってないから、見積もることなんかできないよ……。どうせわかんないから、多めに言っとけ)
エンジニア:2億くらいでしょうか。
経営:なに? そんなに高いわけないだろう!
エンジニア:じゃあ、1億です。
経営:最初から、そう言え!
<時は流れて……>
エンジニア:完成しました! コストは1.5億かかりました。
経営:なに? 50%も多くかかったのか! 会社のお金を何だと思ってるんだ!
エンジニア:(次からは、絶対2億って言おう……)
エンジニアも経営者も、会社にとってよかれと思い、まじめに仕事をしているだけなのに、溝は深まっていくばかり……。
なぜ、こうなってしまうのでしょうか。