嫌いなのに、社長がITを無視できないわけ

「IT部門の連中は、俺の言ったことをすぐに実行できないグズな奴らだ」
「カネばっかり使いやがる」
「あんな簡単なことなのに、半年もかかると言っている。経営のスピードというものが、まるでわかっていない」
「けれども、あいつらの力を借りないと、俺のやりたいことはできないんだよ。それがなんとも歯がゆいんだ」

 あるやり手社長さんの愚痴です。
 彼は優れた商売人でアイディアマンなので、どんどんやりたいことを思いつきます。しかしITが足かせになって、なかなか実現できない。かなり鬱憤がたまっているようでした。
 あなたが経営層や業務担当者などの非IT人材であれば、「そうそう、ウチも……」と思うことでしょう。

 この社長さんのコメントは象徴的です。
 いくらITが嫌いでも、IT部門のエンジニアが気に食わなくても、ITを使わなければ、会社でやりたいことができない時代になったのです。

 別に最新鋭のIT経営の話をしているわけではありません。
「乗るしかない、ビッグデータのビッグウエーブに」とかでは全然ありません。
「我が社もいっちょ、ディープラーニングでアレしてくれたまえ」とかでもありません。

 ITがなければ、決算もできないし、在庫一つ動かせないし、顧客対応もできない時代になったのです。普通に会社を経営するためには、ITについての議論から逃げられません。