ITコストがブレる理由1:何を作るのか決まっていないから

 会社の決裁ルールにもよりますが、経営会議でIT投資について協議する段階では、どんなITを作るのか、詳細には決まっていないことがほとんどです。

 家造りに例えるならば、「家族4人で住む家って、いくらでできる?」と聞かれるみたいなもので、工法も間取りも内装の豪華さも決まっていない段階で「費用を見積もれ」と言われているような、ツラさがあります。

 とはいえ、プロジェクトを進めるためには、総額いくらかかるかは明言する必要があります。だから、目をつぶってエイヤッで見積した金額を伝えるしかありません。

ITコストがブレる理由2:やってみないとわからないから

 ITに限らず、プロジェクトとは「初めて取り組む一度きりの仕事」を指します。経理の年度決算や毎月の給与計算のような、繰り返しやる仕事はプロジェクトとは呼ばれません。

 初めてやることですから、想定外のことがどうしても起きてしまいます。

 例えば、去年完成した姫路城の平成の大修理プロジェクトでも、塗り壁を壊してみたら骨組みがかなり傷んでいて、骨組みに使う特別な枝を急遽全国から探し出した、という一件もあったそうです。
 その間予定していた作業はストップですから、費用も余計にかかったことでしょう。

 ITのプロジェクトでも同じように、「やってみたら想定とは違った」ということが起きます。

 例えば、自社で手作りするのではなく、汎用パッケージを買ってITを構築する想定で始まったプロジェクト。
 ところがプロジェクトがかなり進んでから、パッケージと自社の業務がどうしてもフィットしないことが判明するといったことは、ちょくちょく起きてしまいます。

 当然、パッケージを買う前には、自社の業務にマッチするかは調査しています。ですが、調査も完璧ではありません。
 例えば、自社の在庫管理の方法が世間とは大幅に違うことを誰も知らず、「在庫管理の機能はパッケージにもちゃんとあるな」と安心してしまうようなケースです。