読書で「経験の壁」を超える。つまり、人生の先輩に勝つ!
ここまで「読書の価値」として、「人と人、自分自身に橋をかける」「脳を鍛え、心を豊かにする」「想像力・クリティカルシンキング・メタ認知能力を高める」ことを挙げてきました。でももちろん本は能力開発だけでなく、知識の泉でもあります。
世のベストセラーとは、その領域において良質の「知識セット」を一気に習得するツールだともいえるでしょう。
【知財戦略の過去と現在】『インビジブル・エッジ』
【大企業におけるイノベーション実現ノウハウ】『ストラテジック・イノベーション』
【経営戦略論の変遷】『戦略サファリ』(そうそう『経営戦略全史』も!)
など、たった数百頁を読むだけで、先達の膨大な思索と実践の結果を学ぶことができます。なんとお得なことでしょう。
いつの時代も、若者の前には「経験の壁」が立ちはだかっています。世の中がどんなに複雑でも、さして変化がないのであれば、経験こそがモノをいいます。たまたま先に生まれた者の体験とノウハウが、後輩のそれに優るのです。でも、本のような「知の集積」が存在すれば逆転が可能です。そこから先人の得たノウハウを学び、疑似体験が積めるからです。
ヒトは、実際の経験だけでなく、本からも深く学び行動できる存在です。だからこそ、ヒトは大きく前に進めるのです。 人生という有限の時間の中で、ヒトが諸先輩方に優り、進化を続けるためには、高密度の学びである「良い本」を読みこなすことが一番の近道なのです(ただし、人と同じものを読み続けると、ツマラヌ人間になってしまうので注意!)。
世の中が急激かつ大きく変化する時代には、そういった経験よりも、新しいものを生み出す発想こそが大切になってきます。そこでは、過去の知識の塊である本は役に立たないと思うかもしれません。まったくそんなことはありません。
幅広いジャンルの本を読むことは、新しい発想を生み出すことにつながります。発想の多くは、幅広い知識の組み合わせによるものだからです。その知識は、自らの観察によるものもあるでしょうし、本や雑誌、ネットから得られるものかもしれません。
それが十分破壊力のある発想であれば、「経験の壁」を乗り越えるのではなく、打ち壊すことができるでしょう。それをわれわれはイノベーションと呼ぶのです。
本は、そんな力や知識を得たいみなさんの、もっとも身近な味方なのです。(第2回に続く)