ラファエロが栗原類と大きく違う点

山田 で、そろそろ話を戻すと、37歳で亡くなってるのに、どうしてこれだけたくさんの作品を残せたか? ラファエロが栗原類と大きく違う点はね、実にビジネスマンとして優秀だったんですよ。

こやま ネガティブじゃなかったんですね(笑)。

山田 そう。ものすごくポジティブな人だったの。経営がうまくて、自分の工房に弟子たちをたくさん雇って、ばんばん描かせてた。

こやま 弟子たちが描いてたんですか?

山田 でも仕上げだけはわしがやるよ、っていう『ゴルゴ13』のさいとう・プロダクションみたいな。

こやま だから大量生産できたわけですね!(笑)

山田 じゃなきゃ『ゴルゴ13』だって、あんなにたくさん描けないよ。で、経営の手腕って、画家としての手腕とはまた別ものじゃない。ラファエロはその両方が優れてて、ちゃんと弟子たちを育ててる。その点でも彼は職業画家のお手本だったわけですよ。 

こやま つまり人付き合いが上手だったわけですね。

山田 そう。社交好き。だから絵の注文もばんばん取れた。
ところが三大巨匠のうち残りのお二方は、そこが全然ダメだった。

こやま ダ・ヴィンチさんとミケランジェロさん……。