「空気遠近法」とも呼ばれる「色彩的遠近法」

山田 レオナルドが師匠のアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房にいるときに手がけた『受胎告知』も線的遠近法で有名です。

ダ・ヴィンチ『受胎告知』1472-1475年頃、ウフィツィ美術館、フィレンツェ

こやま 真ん中から広がっていく感じですね。

ダ・ヴィンチ『聖アンナと聖母子』 1510年頃、ルーヴル美術館、パリラファエロ『ベルヴェデーレの聖母 (牧場の聖母)』1506年 ウィーン美術史美術館

山田 もうひとつは「空気遠近法」とも呼ばれる
「色彩的遠近法」
手前のほうのものは赤茶っぽくはっきりと、遠くのものは青っぽくぼかして描くことで、奥行き感を演出する技法。
この作品だとちょっとわかりにくいけど。

こやま 線でも色でも奥行きを描けるんですね。

山田 そして、ルネサンス期に確立された西洋古典絵画のもうひとつの特徴的な技法が、色の濃淡のグラデーションで立体感を出す「陰影法」。これは油絵という画材を得ることで飛躍的に発展した技法で、日本画とかにはあまり見られない。

こやま 陰影法もラファエロが考えたんですか?

山田 いや、むしろレオナルドが完成させたといわれてる。遠近法も陰影法も、ルネサンス期を通じて多くの画家が少しずつ発展させてきた技法をレオナルドが集大成して理論化し、ラファエロが実践したって感じかな。

こやま なるほど。