「自分は第一印象が悪いかもしれない」と、
あなたは思ったことがあるだろうか?

 さて、ここからは7つのメタ能力について、一つずつ説明していきたいと思う。今回は、多くの方が一番注目する、(7)の対人スキルについて語ってみたい。

 対人スキルでは14の項目を設けている。順番に、ファーストインプレッション(第一印象)、傾聴力、プレゼンテーション力、親密性/ユーモア、人脈、新規顧客想像力、条件交渉力、顧客維持力、評価能力、顧客拡大力、政治力、情報の発信力、コミュニケーションの充実、経営幹部との関係力である。

 いくつか大事なポイントについて説明しよう。

 まずはファーストインプレッション。これはかなり重要な要素だ。第一印象で相手に好ましい印象を与える。言うのは簡単だが、なかなかうまく行かないものだ。日本人はとかく、「外見ではなく中身で勝負しろ」などと言うが、印象が悪いと中身を見てもらう前に嫌われてしまう。

 しかも、男も女も「40を超えたら自分の顔に責任を持て」などと言われる。中身が外見に滲み出てくるものなのだろうか。

 第一印象が悪い場合には、いくつか理由がありそうだ。中身自体を変えなくてはいけない場合もあるだろう。あるいは、自分を売り込もうといった意識が強すぎて、前のめりになって、かえって印象を悪くする場合もある。相手や場合によって立ち居振る舞いは変えなくてはいけないのに、それを間違えると、たとえば同年輩の人間にはウケがいいのに、目上の人間には敬遠されるとか、女性ウケはいいのに、男性ウケが悪いとか、さまざまな問題が起こってしまう。

 自分の第一印象を知らない、あるいは間違って判断している人も多い。第一印象は相手や場を弁えて、意識的にコントロールすべきなのだ。そんな第一印象戦略を考えよう。

 こんなケースもある。私が塾長を務める社会人材学舎でのケースだ。ある塾生の第一印象がどうにも弱い。ぱっと見卑屈、ひ弱に見える。なぜなのか考えた。観察の結果、理由がわかった。

 その塾生の姿勢が、揉み手で前屈みなのだ。彼は超大企業出身で営業職だった。超大企業の人は放っておくとむしろ逆で、威張っている印象になることが多い。

 彼は営業職だから、そこを努力して矯正したのではないかと推察した。超一流企業のエリートさんなのに、とても腰が低いとっつきやすい自分を演出したのではないかと思うわけだ。

 実際、営業マンとしての成果は高かった。ところがそれが習い性になってしまった。彼は学舎に入ってきたときは、すでにその大企業を辞めていた。そうなると、彼の強みだった態度はただ卑屈に見えてしまうだけだ。

 彼はそのことに気づいていなかった。立場が変わり環境が変化したのだから、素のままの自分に戻るか、今の環境に適した新しい第一印象を再構築すべきなのだ。このように自分の第一印象を戦略的に考え、自分をどう見せたいかを決めて、戦略的に自分象を作り上げるべきだ。

 それが、対人スキルの実はスタートである。