極端に心配性で、最高にポジティブ

カー用品で有名な株式会社イエローハット(本社 東京都)の代表取締役社長・堀江康生さんは、こう打ち明けてくださいました。

社長になると、何もかもが気になりだします。『あれが心配』『これが心配』と小さなこともやっぱり気になるんです。部長の上には本部長、取締役の上には社長がいますが、社長にはもう次に投げる人がいない。精神的な負担はだいぶ違うと思います」

社長就任から半年間は、夜中に必ずシャツを着替えるほど、寝汗をかいていたそうです。それくらい心配事が多かったということでしょう。

ただし、優秀なリーダーはただの心配性で終わりません。心配と向き合うために、やっぱり「考える」わけです。堀江さんもこんなふうに語っていました。

「とにかく頭を動かさないといけない。サウナに入って考え、サウナから出て考え、布団のなかで考え、電車のなかで考え……。どの社長もみんな、実質的には24時間考え、仕事と個人のすべてが一体化していると思いますよ」

私がリーダー取材にのめり込んだ秘密も、まさにここにあります。

優秀な社長たちとお話しするのは私にとって最高に楽しい時間です。なぜかといえば、彼らは極端に心配性でありながらも、決してネガティブではないからです。

ですから本来なら、「心配性」というより「繊細」とか「緻密」と表現すべきかもしれません。ネガティブな人ではなく、ネガティブチェッカーであり、考えに考えて考え抜くリスク管理者なのです。