「ライフハッカー[日本版]」「NewsWeek日本版」などのニュースサイトに、月60本近くのブックレビュー記事を寄稿し、年間700冊以上の読書量を誇る人気書評家の印南敦史氏。そんな多読生活を送る彼も、数年前までは「1ページ5分」かかるほどの超・遅読家だったという。

遅読にもかかわらず、毎日1本の書評を書くことになった彼がつかんだ、新時代の読書術「フロー・リーディング」とは? 最新刊『遅読家のための読書術』の内容をベースに、「読書スピードの遅さ」や「読書量の減少」に悩む人たちにお届けする。

本を読むのが遅い人は、その本を読む「目的」がはっきりしていない。探し物もないのにぶらぶら歩き回っていれば当然、時間を浪費することになる。すばやく効率的に読みたいのであれば、事前に「キーワード」を決め、検索エンジンのように本を読むべきだ。

「読む目的」が明瞭だと、うまく流し読みできる

「本を読まなきゃいけないのはわかっているんだけど、200ページも300ページもある本を前にすると、『……読むのは明日にしよう』と先延ばししてしまう」

そんなふうに悩んでいる方もいらっしゃるのではないかと思います。いまでこそ毎日のように本を読んで書評を書いている僕ですが、かつてはいつもそんな感じだったので、気持ちはすごくよくわかります。

読書が仕事になってから気づいたことですが、本を気軽に開き、気軽に読みはじめられないのは、「その本を読むことによってなにを得たいか」がはっきり決まっていないからです。ビジネス書などを読む場合はとくに、そのことが大きな意味を持ちます。

「まだ読んでいないんだから『その本からなにを得たいか』なんてわかるわけないよ」

そう思いますか? でも、なにが書いてあるかわからないのに、なぜみなさんはその本を読もうとしているのでしょうか?