発表が行われるのは半年後。組織単位で5~6名のチームを編成し、業務改善活動の成果を工場のホールで各チームが30分にわたり発表することになりました。その発表会には社長をはじめ、経営陣も全員が参加。発表内容を採点して表彰も行われるとのこと。Oさんは同じ職場の仲間とチームを組んで「ミス撲滅に向けた取り組み」をテーマに、これからの半年活動することになりました。さらに、

「発表はOさんにお願いしたいと思います」

 と、先輩から指名を受けました。大いに戸惑うOさん。工場では作業する機会こそあれ、人前で話す機会などありませんでした。さらに「期待している、君ならできるよ」と言われて、断るのは無理そうです。Oさんは仕方なく発表の役割を引き受けました。

 さて、こうして始まった改善活動発表会の準備。仕事の合間にチームで集り、 喧々囂々の議論を行い、発表内容をまとめていきます。ちなみにこうした改善活動はQCサークルと呼ばれ、日本企業でも標準的に広まっている職場内の活動です。全社的品質管理活動の一環として自己啓発、相互啓発を行い、QC手法を活用して職場の管理、改善を継続的に全員参加で行います。トップからではなく、現場の主体性により行うボトムアップの活動で、この活動が日本企業の品質の高さを生み出してきたと言われています。

 Oさんの会社でもQCサークルはあったようですが、活動成果を発表するなど意欲を高める取り組みがなかったので形骸化していたようです。そこに経営陣が問題意識を持って、発表会の開催となったのでしょう。やはり、仕事も取り組みや成果を職場内で発表して称えるハレの日ができると意欲が湧くもの。工場内でも発表会で誰が発表するのかなど、ランチのときなど話題に事欠かない状況になってきたようです。

 そして半年後、発表会の日を迎え、チーム単位で発表が行われました。Oさんはミス撲滅の成果と今後の対策を発表。当初は緊張して足が震えるくらいでしたが、無事に発表を終えることができました。そして、全チームの発表が終わり、経営陣から総評と順位が発表されました。