今後の見通し
注目は日銀政策金利の下限

 このように、金利の低下に対して邦銀の収益は他国以上に脆弱である。では、日銀が適用する政策金利はどこまで下がるのか。技術的にはどこまででも下げられるが、日銀は、マイナス金利の問題点として、「マイナス金利による金融機関収益の圧迫があまりに大きいと、金融仲介機能を弱める懸念がある」と述べている。したがって、マイナス金利の限界点を探るには、銀行の収益がどこまで耐え得るかが焦点となる。

 銀行収益に直接的に影響を及ぼす金利は、政策金利ではなく貸出金利の過半が連動しているTiborレート(東京銀行間取引金利)と短期プライムレートである。このうちTiborについては、2月18日時点で発表前の0.171%から0.106%へと、大幅に低下した。

 一方、短期プライムレートは、2009年1月から今日まで1.475%程度に据え置かれている。これらの高めの基準金利のおかげで、銀行の平均貸出金利はまだ1.1%程度にとどまっている。ところが、ここから調達コストや経費を差し引いた「総資金利ざや」は、全国銀行平均で0.10%しかない(15年3月末時点、図表4参照)。これがゼロ以下まで低下してしまうような政策金利は考えにくいだろう。このため、日銀が引き下げられる政策金利のひとまずの節目は、マイナス0.4%~0.5%程度までではないかと考える。

◆図表4:全国銀行の総資金利ザヤの推移(%)

出所:INDBデータよりマネックス証券作成

銀行の対策
ビジネスモデルの抜本的な転換

 このような環境下で、邦銀はどうするべきなのだろうか。貸出ボリューム増だけでは下落影響を打ち返せず、手数料引き上げも容易ではない。となると、短期的に効果があるのは経営の効率化であろう。統合による規模の経済追求もこれまで以上に検討する価値があるだろう。また、近年議論が活発化しているFinTech(フィンテック)がその一助となるかもしれない。たとえば、決済分野では、これまで以上にモバイル端末などを活用することにより、銀行へのアクセスを支店から各個人の端末に分散させることにより、店舗関連費用やそれにかかわる人件費を圧縮することが可能となるだろう。

 いずれにしても、様々な費用はかかるが、今の低金利下では1兆円貸しても40億円程度の粗利しか取れないという計算になる(現在の新規貸出の利回りから10bp低下を想定)。それでもサービスを下げずに利益を確保するためには、ビジネスモデルの抜本的な転換が必要になると思われる。