マイナス金利は国民にとって
損より得のほうが大きい

マイナス金利のメリットを生かし政府がやるべきこととは

前回のコラムで、マイナス金利政策は正しいと書いた。「マイナス金利によって銀行の収益が減るのは、問題だと思う?」という編集部の問いかけに対して、84%の方が「問題だとは思わない」と回答している。

 この回答は、これまでの銀行の収益を考慮すれば、納得できる。というのは、最近の銀行の収益は、2000年前後の不良債権危機を脱した後、これまでの金利低下局面の恩恵を享受して過去最高レベルだからだ。銀行は貸出金利より預金金利のほうが下げのスピードが速いためである。

◆銀行の当期純利益の推移(億円)

(資料)全国銀行協会

 マイナス金利時代、一般国民はあまり損ではなく、むしろ得が多い。まず、預金金利はほぼゼロの状態なので、下がったとしてもマイナスにならない。もしマイナスの預金金利なら銀行に預けなければいい。

 貸出金利も下がるが、一般国民はこの恩恵を受ける。これから事業を興そうという人には絶好のチャンスである。

 かつて筆者は、テレビ朝日の「朝生」で、枝野幸男・現民主党幹事長と、金利低下が経済に与える影響を議論したことがある。枝野氏は、金利低下が預金者の利益を害するので、経済成長のためには金利を高めるべきと主張した。筆者は、その逆で、金利低下はお金を借りてまで事業を興そうという気概のある人を支援するので、経済は成長すると言った。そのとき、ただお金を持っている人とお金を借りてまで事業を興そうという人では、後者に恩恵を与えるほうが、より経済成長すると主張した。

 さすがに、マイナス金利時代にあると、預金者のデメリットより借入者のメリットのほうが大きいことは、枝野氏でもわかるだろう。