コメリとアークランドサカモトが下した正反対の決断
HCに限らず、小売業の多くが発行するポイント付きハウスカード。今回の調査で浮かび上がったのは、カードの取り扱いについて、積極的な活用に向かうHCが出始めている反面、完全廃止を決断したHCもあることだ。これまでの中途半端なカードの取り扱いが収められ、二極化の兆候が見られ始めている。
積極的な活用に向かったのはコメリ(新潟県/捧雄一郎社長)。6月に100%子会社のコメリキャピタルとジェーシービー(東京都/高倉民夫社長)による自社運営カードを発行する。同社は今年、売上高3000億円、店舗数1000店の節目を迎えるが、事業規模の拡大と好調なインターネット通販「コメリドットコム」の成長に伴い、審査・代金回収・情報管理までを一貫してグループ企業が行う。6月に一般カードをグループ企業運営に移すが、その後、プロカードも自前の運営に移行する計画だ。
一方、コメリと同じ新潟県に本社を置くアークランドサカモト(新潟県/坂本勝司社長)は7月にカードを廃止する。
3年前の取材時には「現在、取り扱いについて検討中」とコメントしていたが、このほど廃止が決まった。その理由は「顧客へのサービス向上は、品揃えなど、商品の充実で実現したい」というもの。買物金額に応じてポイントが提供され、そのポイントによって買物券などと交換できるサービスは、顧客の囲い込みに有効なはずだが、このサービスを打ち切り、商品戦略で顧客に訴える方針だ。
中途半端な取り扱いが徐々に改められようとしている状況は、プロカードの取り扱いにも見受けられる。プロカードは、法人や個人事業者を対象に発行されるカードだが、その機能は、(1)掛売の決済を目的とするもの、(2)業者のクレジット払いを支援するもの、(3)支払いまでの期間が80日以上の長期間に設定できるもの、などだ。このほか、農業従事者向けに収穫期の一括支払いにも対応できるカードを発行しているHCもある。
このプロカードをやめたのは、カーマ(愛知県/豊田芳行社長)とセキチュー(群馬県/関口忠社長)だ。またサンワドー(青森県/中村勝弘社長)も一般カードでは「新サンワカード」を始めたが、プロカードについては「廃止はしていないが、積極的な新規募集は行っていない」という。プロカード廃止や新規募集停止の理由は「カードホルダー数が少ないため、提携クレジット会社が廃止を勧める」からだ。