場を制する力を伸ばせる環境を
【津田】僕は『ロジカル面接術』(WAC)という就職面接の本も書いていますが、結局面接のときのプレゼンテーションは自分に関するストーリーテリングなんです。ただ、「がんばったからうまくいきました」というだけでは伝わらない。「がんばる」って何なのかを分析しないといけない。たとえば「5日間徹夜しました」と言えば、「そのあいだどうやって体力を維持したか?」などというように、どんどんストーリーがつながっていくわけです。
博報堂、ボストン コンサルティング グループなどで一貫して新商品開発、ブランディングを含むマーケティング戦略の立案・実行にあたる。
現在、AUGUST-A株式会社代表として、各社のコンサルティング業務に従事。また、アカデミーヒルズや大手企業内の研修において、論理思考・戦略思考の講座を多数担当。表層的なツール解説に終始することなく、ごくシンプルな言葉で思考の本質に迫る研修スタイルに定評があり、のべ1万人以上の指導実績を持つ。
著書に『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』『世界一わかりやすいロジカルシンキングの授業』などがある。
【斉藤】「私は野球が上手です」っていう人は、「地区大会で優勝しました」とか、エビデンスに基づいてストーリーを語る展開が必要ですよね。
【津田】定量データや固有名詞は欠かせません。
【斉藤】そう、形容詞と副詞で話したり書いたりしちゃダメなんです。名詞と動詞で文を組み立てないと。そういう基礎的なトレーニングはすごく大事だと思うんです。アメリカ型入試は、学生を単なる数字だけではなくストーリーとしてとらえていく。その学生が入ってきたときに、学びの共同体にプラスの影響があるかどうかで判断しています。
ですからイェールの学生はおしなべて、場を制する能力に長けているんです。こうした力を持てば、一般社会に出ても活躍できますから、即戦力になるわけです。実際、学生時代に起業して大儲けする学生もたくさんいますし。
【津田】それこそ日本でも入社面接のときに、5人くらい集めてグループディスカッションをしたりしますよね。その場を制する力があるかを見たりはしているわけですが、日本だと「場の制し方」がちょっと違う。ただたくさんしゃべっているだけとかね(笑)。
【斉藤】声が大きいのがいいとか(笑)。実はJAXAの宇宙飛行士選抜試験では、10人くらいの宇宙飛行士候補を集めてビデオカメラが動いているところで共同作業をさせ、リーダーシップがあるかどうかを見ています。
それを大量にさばく前提で、高校も巻き込んで行っているのがアメリカ型大学入試です。ある意味、日本の大学入試の方向も、そちらのエッセンスを少し取り入れるような感じに変化していくんじゃないでしょうか。本格的なアドミッションズ・オフィス(AO)入試の導入です。