食材費率に手も採用力弱く人材不足解決せず

 これに対して、当時のマクドナルドが打った手が「値上げ」だった。その結果、図(3)からも分かるように、13年は客単価が上がっている。しかし、値上げは消費者の反発を呼んで客足は遠のき、既存店売上高は回復しなかった。そうしたタイミングで鶏肉問題が起き、追い打ちをかけた。

 慌てたマクドナルドは14年10月から「昼マック」を投入。平日昼のセット価格を100円程度引き下げ、350円、450円、550円の三つの価格帯で展開した。

 ところが、15年1月に異物混入事件が発生、売り上げのさらなる減少に加えて、食材費率はますます上昇し、15年には原価が売上高を上回る赤字構造となってしまったのだ。

 こうした事態を打開すべく、15年10月から「昼マック」に代えて、「おてごろマック」を導入。セット価格を一律500円にしたことで、食材費率の高止まりに歯止めをかけたというわけだ。

 マクドナルドにとって、もう一つ深刻になっているのが、人材の確保だ。

 長期的に見れば労務費率も上昇傾向にあるが、14年12月期から15年12月期の直近1年で、食材費率が1.5ポイント上昇したのに対して、労務費率は0.3ポイントの上昇にとどまっている。これは、売り上げ減に合わせて、現場のアルバイトの人数を絞るなど人件費をコントロールしたためだ。

 今年に入ってから売上高が3割増と急回復してきたため人手不足が顕著となり、現場が回らなくなってきた。「現在、全国にアルバイトが約12万人いるが、それでも対応し切れなくなっている」(マクドナルド)。

 そこで、AKB48のメンバーを声優とした求人用のアニメを制作、3月16日からウェブ上で放映するなど、採用に力を入れ始めた。しかし、3月31日までに採用できたアルバイトの人数は約1900人。1店舗当たり0.7人しか採用できていない計算だ。

 背景にあるのは待遇の低さ。周辺の飲食店チェーンよりも募集時の時給が低い上に、交通費も支給していない。このため、「高校生のアルバイトが大学生になったのを境に辞めていくケースが多い」(フランチャイズ店オーナー)。

 こうした問題の対策として、東京・大森駅北口店にセルフオーダーシステムを導入するなど、一部で試験的な取り組みを始めているが、抜本的な解決策となるには、まだ時間がかかりそう。

 社外のみならず、社内からも「芸能人を使ったアニメにお金を使うくらいなら、交通費を支給したらどうか」というもっともな意見も出ているが、人手不足はサービスの劣化に直結するだけに根が深い問題だ。

 こうした構造的な問題を抱えるマクドナルドだが、何より顧客を引き付ける魅力的な商品を打ち出すことができていないのが最大のウイークポイントだ。

 今年4月6日から、マクドナルドは期間限定でビッグマックの1.3倍のビーフパテを使用した「グランド ビッグマック」を投入した。過去のヒット商品はおおむね肉の量を増やしたボリュームある商品だったという方程式からいえば、マクドナルドらしい商品ではある。

 だが、果たして起爆剤となり得るのか。もしヒットしなければ前途は多難といえそうだ。