暑い季節に増える自覚症状のひとつに「めまい」があります。
ふわふわした浮遊感のあるめまいと、ぐるぐる回るような回転性のめまい。一般には、浮遊感のあるめまいは脳の血液循環不全が主な原因です。
高温のなかで立っているとき、低血圧、あるいは高血圧の治療により血圧が低下したとき、貧血、著しい不整脈など心臓の障害、生理中の女性などでは、一時的に脳の血液循環が悪くなり、めまいを感じることもあります。これらは安静にして休んでいるとすぐに回復し、繰り返さなければあまり問題になりません。高齢者にめまいが起こりやすいのは、脳の動脈硬化が起きていて、血行が悪いためです。他に低血糖、自律神経失調症、心因性などさまざまな原因があります。
注意したいのは、手足に力が入らない、ろれつが回らない、体がしびれる、激しい頭痛や吐き気を伴うといった場合。脳梗塞や脳出血の心配もあり、医療機関の受診が必要です。涼しく静かなところで数分間休ませて、それでも改善しないときは、担架や救急車で医療機関に運ぶことも考えます。
ぐるぐる回るようなめまいは内耳の障害が疑われます。人間の平衡感覚を司っている内耳に問題が生じると、平衡感覚が侵されるため、回転するようなめまいや、体や頭の位置を動かしたときにめまいを感じます。
「メニエール病」は、内耳のむくみなどが原因で回転性のめまいを起こします。伴う症状として、耳鳴りや耳が詰まった感じ、片耳の聴力低下などがあります。メニエール病は、ストレスや疲労も誘因になり、繰り返すことも多い病気です。
「めまいのときは何科を受診すればいいですか?」という質問をよく受けます。回転性のめまいでしたら耳鼻科が適しています。浮遊性のめまいで、ふらつき感が不快なら内科の受診が適しています。
暑い夏はストレスや疲労もたまりやすく、脱水により血液循環も悪くなるので、めまいが起こりやすい季節です。日頃から健康管理に留意してください。めまいが起きたときは重篤な病気の可能性もあるので、本人も周囲の人もあわてず落ち着いて対処しましょう。