Dさんも、決して二流的人生などを送っているわけではありません。天空には上れていないのかもしれませんが、地上の星として輝いているはずです。私はまず、そのことに心からの拍手を贈りたいと思います。

 ほかの誰もができないような大量の業務をこなしている。余人をもって代えがたい存在となっている。そのことが能力の証ですし、素晴らしいことだと思います。しかも、家庭を持ち、仕事と両立させている。これは、とてつもない偉業です。

 ご自身を卑下することなく、等身大の自分をしっかりと認めるところから始めてほしいのです。

 実は男性は女性に比べると、多くの場合自己認知が下手です。どちらかと言えば、過大評価をしがちです。それに比べて、女性は客観的に自分を見るのがうまいのですが、ややもするとご自身を過小評価しがちです。

 それがいい方向に働くと、謙虚さにつながり、継続的な努力の源泉となるのですが、悪い方向に働いてしまうと、いわれのない劣等感を抱いたり、自分に自信を持てなかったり、チャレンジ恐怖症になる。さらに、他人や組織に依存する傾向も強くなります

 ご自分がやってきたこと、あるいは現在進行形で頑張っている仕事について、簡単に「当たり前のこと」「たいした仕事はしていない」と言わずに、自分の能力を認めてみてください。Dさん、あなたの行ってきたことは、素晴らしいことなのですよ。

自分では気がつかないだけ
すごい仕事をあなたもしている!

「今までやってきた仕事の中で、あなたが誇れるエピソードを教えてください」と聞くと、性別を問わず、「思いつかない」と答える人が少なくありません

 ある男性の例ですが。「どんなお仕事をしているのですか?」と聞くと、「営業です」と答えてくれたのですが、そこで止まってしまう。あとが続かない。こちらが「営業のお仕事の中で、これまでどんな素晴らしいお仕事をされてきたのかお話しいただけますか?」と促すと、「たいしたことはしていない」と答えて終わってしまう。

「まあ、そう言わずに、何かご自分の仕事でやりがいがあった仕事を教えてください」と聞いても、「特にないです」と答える。

 そこで「たとえば、新規開拓は難しいですよね。新規開拓を行った経験はありませんか?」と聞く。すると、「もちろん、あります。そうそう、こんな例がありました。これは新規開拓ではないのですが、前任者がしくじって、出入り差し止めになってしまったあるクライアントを復活させたことがあります」と、やっと答えてくれました。