前回コラム(官業ビジネス編)でお約束した通り、今回はエレクトロニクス業界のソニー・富士通・NECの、09年9月期決算を検証する。

 今回取り上げる3社は、経営分析対象となりにくい「健全なる赤字決算」を続ける「難攻不落トリオ」である。

 まず、09年9月期までの、四半期ごとの決算数値(純額ベース)を並べるところから話を始めよう。

なぜソニー・富士通・NECは<br />「健全なる赤字決算」を続けられるのか

 「利益」のところに、これだけ連続して▲印が付くのも珍しい。「サバイバル経営戦略」の腕が鳴るというものだ。

 なお、富士通の09年9月期の当期純利益725億円には、ファナックなどの株式売却益895億円というカサ上げが含まれているので、富士通も実質的には赤字決算の連続であることを付け加えたい。

08年冬以降、
「景気の底」が見えないソニーの苦悩

 前回コラムでも述べたように「健全なる赤字決算」で推移している企業の経営分析ほど難しいものはない。

 糸口を見つけるために、〔図表 1〕をベースにして、第1回コラムから登場させている「タカダバンド」を各社について描いてみたところ、面白い現象に気が付いた。第21回コラムのトヨタで紹介した「損益デッドクロス」が発火点になったのである。