教育・受験 最前線#45Photo:PIXTA

2026年1月に実施される大学入学共通テストの志願者数は49.6万人。これを都道府県別に見ると、5県は3000人を割り、18県が5000人を割っている。連載『教育・受験 最前線』では、連載内特集『大学入試2026』をお届けしている。第13回は地方の実情をつまびらかにするとともに、国公立76大学の44年間の入試偏差値の推移データを一挙掲載する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

教育学部は長らく不人気なのに
国立教育大の偏差値は大崩れしない

 2026年度入試の一般選抜がいよいよ本番を迎える。志願動向はコロナ禍で理系に人気が寄って「理高文低」となっていたものが、文系の回復により「文理均衡になりつつある」と河合塾教育研究開発本部主席研究員の近藤治氏は言う。また、少子化と人手不足が進む中で新卒採用は売り手市場という背景もあり、「資格志向の弱まりが見られる」とベネッセコーポレーション教育情報センター長の日山敦司氏は分析する。

 資格が取れる学部系統の中でも、長らく不人気となっているのが教員養成・教育学系統だ。20年前には私立で教育学部の新設が相次いだが、今は学部の募集停止が相次いでいる。

 下表はベネッセコーポレーションの協力でまとめた、国立の15教員養成大学における44年間の偏差値の推移だ。総じて下落傾向ではあるが、大崩れはしていない。なぜなのか。

 ベネッセコーポレーションが集計している学部系統別入試実績データを基にダイヤモンド編集部が分析したところ、国公立と私立どちらの大学もこの10年、教員養成・教育学系統の志願者数は他の系統と比べて目立って減少している。と同時に、国の政策を受けて国立大学は教員養成・教育学系統の募集人員を他の系統よりも大幅に減らしてきた。これにより、国公立大学における教員養成・教育学系統の実質倍率(受験者数÷合格者数)は低いながらも、ぎりぎり選抜できるレベルにとどまっているのだ。加えて国立の国立教員養成大学については、教員就職実績が高く、各エリアで教師になる王道ルートとして存在感を持つところが多い。

 もっとも、足元では学校の現場で教員不足が深刻化しており、なり手不足を解消する政策が最重要課題となっている。

 国公立大学における志願者数の減少は教員養成・教育学系統に限った話ではない。26年度の大学入学共通テスト志願者数は、大学入試センターが公表した集計によると49.6万人。前年度と比べるとほぼ横ばいだ。しかし、大学入試センター試験から切り替わって共通テストがスタートした21年度の志願者数53.5万人と比べると明らかに減少している。とりわけ厳しいのが地方。少子化がより加速しており、26年度の共通テスト志願者数(受験地別)が3000人を割っているところが5県もあるのだ。18県は5000人を割っており、地方国公立大学は総じて縮小することが必然となっている。

 次ページでは、地方の実情をつまびらかにするとともに、全国61国公立大学における44年間の偏差値の推移データを一挙掲載する。