たとえば自宅の冷蔵庫と、スーパーの買い物かごがどちらもIoTでクラウドにつながっていたとする。そうすると、スーパーで買い物をしている際に、本人は何も操作していないのにもかかわらずスマホに、

「あとレタスとえんどう豆を買ったほうがいいです。それとカートに入っている鶏肉パックは無駄です」

 と表示が出る感覚。なにもしなくてもこうなる。これがIoTの示すひとつの未来だ。

 つまり冷蔵庫は庫内の食品を自動的に把握している。複数台の内部カメラで食品の出入りを覗いて画像解析して何がいつどれだけ入ったり出たりしたかを数えてくれている。

 ショッピングカートは今、スーパーで何を買おうとしているのか、自動的に把握している。

 そしてクラウドでは過去の買い物履歴の傾向や、冷蔵庫の中身の消費状況のデータを持っていて、季節のうつろいも加味したうえで人工知能がそれらを分析して、買い物の過不足を分析しれくれている。そういうことがすべて組み合わされればスーパーでの買い物が最適化される。

 それでどれくらいの効率化になるか。家庭の冷蔵庫の中身の廃棄率はだいたい15%だという数字がある。毎月5万円分の食材を買う家庭では年間で10万円を食べ残してロスしている。これがなくなれば確かに家計は助かるだろう。

 こういったことが家庭でも起きるし、産業全体でも起きる。IoTで「圧倒的にコストが削減でき、機会損失がなくなる」というのはそういうことだ。

10年後の未来が描けずとも
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 しかしそれで「誰が儲かるのか」が現時点では見当がつかない。なぜならみんなが一斉にIoTを目指して動く中で、誰がどのようなビジネスモデル、どのような特許、どのような製品で優位を築くか次第なので、実は今の時点では誰がどう勝つのかまったく見当がつかないといっていい。