──企業や個人は、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?

石田 とるべき安全行動を明確に選び出し、繰り返して習慣化するということに尽きます。すでに弊社がBBS指導を行っていたある大手企業では、地震当日、社員一人ひとりが決められた安全行動をとったため、避難経路の確保や非常物資の配布などもスムーズでした。

 この会社では、普段から、非常時に一人ひとりがとるべき行動をチェックリストを用いて具体的に示し、繰り返して習慣化しておいたからこそ、それが可能だったのです。

──非常時の行動を習慣化するのですか?

石田 そうです。冷静な判断ができない非常時には、平常時のように、考えてから安全行動をとる余裕はありません。ですから、体が勝手に正しい行動をとるようにしておかなければなりません。

 自衛隊や消防のレスキューなどが、日ごろから基礎訓練を繰り返しているのは、そうした型を徹底的に反復して習慣化するためです。それによって彼らは、過酷な状況においても正しい行動がとれるのです。体力や精神力だけの問題ではありません。

──ということは、私たちにも安全行動の習慣化は可能なのですね?

石田 例えば今回の地震では、岩手県釜石市の小中学生のほぼ全員が無事に逃げ切れたそうです。防災・危機管理の専門家のアドバイスを受けながら教員向けの「手引き」を作り、年間10時間ほどを防災教育にあてて、「揺れたら、家へ向かわず高いところへ逃げる」「ハザードマップは信じず、状況を見て判断する」「中学生は小学生を助けて逃げる」といったことを伝え続け、真剣な避難訓練を行っていた効果が出たということです。

 平常時に「気をつけようね」とただ言っていても、それではダメなのです。避難の際のとるべき行動を分解し、真剣なロープレで習慣化しておけば、いざというときに正しい安全行動がとれます。それを可能にするのがBBSなのです。

 


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