
上場企業の監査報告書に署名している公認会計士は2364人。監査しなければならない上場企業は約4000社あるため、多くの公認会計士が複数の上場企業を掛け持ちしている。その中で最多の27社を担当している公認会計士が、監査法人コスモスの新開智之氏だ。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#10では、日本一の“働き者”会計士ともいえる新開氏に、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
上場企業27社を掛け持ち
公認会計士の本当の使命とは?
――掛け持ち社数は27社でトップでした。監査法人コスモスの公認会計士は皆多くの企業を担当しているのでしょうか。
私どもの法人ではパートナーが10人いますが、監査報告書に署名する企業を10社程度、審査を10社程度担当しています。私は審査を行う担当は1社のみです。27社の担当というと多いように捉えられますが、実は負荷は当法人の他の公認会計士とあまり変わりません。
ランキング上位の他の方と私で違うのは、やはり市場の違いです。私は27社のうち26社がTOKYO PRO Market(TPM)上場企業。TPM上場企業の監査は財務諸表監査だけですし、東京証券取引所規則による監査ですので、金融商品取引法に基づいた監査と比べ、監査項目は少なくて済みます。(「公認会計士の監査担当企業『掛け持ち社数』ランキング【トップ15人】太陽は働き者ぞろい?」参照)
――TPM上場支援を多く担当することになった経緯は。
公認会計士法第1条の最後に書いてある文言を、私どもは重要視しています。
27社を掛け持ちしている新開智之公認会計士。そのうち26社がTPM上場企業だ。なぜこれほど多くの企業を掛け持ちすることになったのか。その理由を聞くと、四大監査法人などで大企業を担当する公認会計士とは違う、監査法人コスモスと新開氏ならではのポリシーがあった。次ページでさらに詳しく話を聞いた。