コンサル大解剖Photo by Akira Yamamoto

売上高が1年で2倍という驚異の成長を遂げているのが国内系中堅コンサルティングファームのノースサンドだ。同社は、ベイカレントとのビジネスモデルの類似性から「ベイカレクローン」といわれる企業の一社としても注目を集める。ベイカレント出身の前田知紘社長を直撃し、その急成長の理由を聞いた。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、前田氏のインタビューの前編をお届けする。前田氏が、急成長の理由に加え、同社への追い風になっているコンサル市場に起きている“ある変化”や、それに適合する同社の人材の特徴などを徹底解説。また、今後について「売上高600億円」という目標も明らかにした。

売上高は1年で約2倍に
他社との差別化ポイントとは?

――足元の業績はいかがですか。

 2024年1月期の売上高が91.4億円で、その前の23年1月期が44.4億円。成長率としては約2倍ですね。規模の経済で大きくなればなるほど効率も上がりますから、利益率も高まっています。いま決算の真っ最中で具体的な数値は言えませんが、25年1月期も非常に高い成長率で推移しています。

――これだけ高い成長率を実現しているのはなぜでしょうか。

 これは本当に、飛び道具的な特別なことはなくて、当たり前のことをコツコツとやってきた結果ですね。ただし、その当たり前のことがほかの人はできなかったり、簡単だけどその継続が難しかったりするというのが、われわれと他社との違いかなと思います。

 例えば、私は新型コロナウイルス禍以降、平日に毎日、会社の理念や昨日に起きた出来事など全社員向けにメッセージを発信しているんですよ。社員を同じベクトルに向かせるような、理念の浸透活動を毎日続けているということですけど、今日だともう1179日目。1日も休みなく、1179回投稿しているのです。

 会社組織なので、大きくなるほど社員同士の距離は離れていきますが、物理的には離れていても、会社の中のコミュニケーションツール上ではつながっている状態をいかにつくるか。それを愚直にやり続けるのって、結構難しいと思いますよ。

――売り上げ成長の中で、具体的に強い顧客などがいたのでしょうか。

同社の急成長の背景には顧客の高い継続率が存在する。次ページでは、前田氏が高継続率を維持できる要因について解説する。また、前田氏は同社の急成長の背景には、コンサル市場に起きている“ある変化”が存在すると指摘する。その変化とは。そして、同社がベイカレクローンと称されることについて、前田氏は「何も感じない」とした上で、同社とベイカレントのビジネスモデルの類似点と相違点、他社との差別化のポイントも解説した。